双極性障害と向き合うパートナーシップでは、どうしても喧嘩やすれ違いが繰り返されることがあります。
「どうして分かってくれないの?」「私ばっかり我慢してる気がする。」など、そんな思いにぶつかるとき、どうしたらいいのでしょうか。
この記事では、すれ違い・喧嘩を繰り返すときにパートナーと当事者、二人に考えてほしい5つのことをお伝えします。
二人の関係を壊さずに、もう一度歩み寄るヒントになりますように。
喧嘩をする「前」にあらかじめルールを決めておく
喧嘩になったときに「どんな言葉は言わない」「一定時間冷却期間を置く」など、話し合って事前にルールを作っておくと、エスカレートしにくくなります。
ルールがあることで、お互い冷静に「一度離れよう」と言いやすくもなるので、ぶつかる頻度を減らせられることにもつながります。
喧嘩をしてしまうと、どうしても互いに冷静な状態ではないはず。冷静でないことで、相手を深く傷つけてしまうことにもなりかねません。
私も実際に、夫と大喧嘩の回数はルールを決めている前と後では回数は圧倒的に多かったです。
喧嘩をすると、体力も身体的にも疲れてしまう…。
それを私たちは回避したかったので、まずは一つのルールを決めました。
それが、『一定時間冷却期間を置くこと』です。
私にとってこのルールを二人で決めたことで、心が救われた気持ちになりました。私には、感情的になると攻撃的になることが多いので、「どんな言葉は言わない」は失敗したのでこの方法が私に合っていることが実感として感じたのです。
事前に決めておきたいルール集
感情が高ぶったら「◯分だけ離れる」と声をかけて一旦冷却時間を取る
喧嘩になりそうなときは、暴言・人格否定ワードは絶対に言わない
喧嘩中はLINE・SNSでのやり取りは一旦ストップする
仲直りの合図(「話せるようになったよ」「少し落ち着いた」など)を決めておく
後から「ごめんね」「ありがとう」は必ず一言お互いに伝える
💬 伝え方の例(当事者向け)

もし、私がしんどくなったら、”一回だけ離れさせてほしい”って伝えるから、そのときは責めないでいてくれる?
あなたが辛くなったときも、私がすぐに話を続けようとしたら、”一旦休みたいな”って言っていいからね。
💬 伝え方の例(パートナー向け)



もちろん、責めないから安心してね!
私、喧嘩の途中でしんどくなる事がたまにあるんだ。そのときは、”少し休ませて”って私も言うから、一旦待っててもらえると嬉しい。
離れるとき、必ず”戻ってくる”って言うから、見捨てるわけじゃないってことは信じてほしい。
メッセージやLINEでのやり取りを一時的にストップする
双極性障害の気分の波が強いときは、文章での喧嘩は感情的になりやすいです。
読み返して落ち込むリスクも圧倒的に高いので、一時的に文字のやり取りを中断し、口頭または対面でゆっくり話すタイミングを改めて作ることをおすすめします。
私も実際に、夫とLINEでやり取りしたことで感情が爆発してしまって、夫よりも私ばかりが一方的にメッセージを送り続けてしまい、結果的に夫が滅入ったことも多々あるからです。
突発的でかつ感情的に送っているメッセージというのは、とてつもなくひどい内容でもありました。
当事者の本人は「分かってよ〜」の意思表示に過ぎないのです。
取り返しがつかなくなる前に、携帯はストップです!これは絶対にお願いしたいです。
伝え方のポイントとは?
感情が爆発しそうなときは、「直接話すほうが大事だから」と理由を必ず添えて本人に伝える。
💬 伝え方の例(当事者向け)



私、感情が高ぶると、LINEでどうしてもきつい言い方をしちゃうことがあるんだ。だから、もし話がしんどかったら”一旦ストップしよう”って送るから、そのときは少しだけ待っててもらえる?
私が”今はLINEを休みたい”って言ったときは、見捨てるわけじゃないし、ちゃんと気持ちはあるって伝えたい。
30分くらい時間を取ったら、また連絡するね。
💬 伝え方の例(パートナー向け)



もちろん、いつでも待ってるよ。焦らなくてもいいからね。
もし、私もLINEのやり取りがしんどくなったら、”一旦ストップ”って送ってくれていいからね。
私はそれを”拒絶”って思わないようにするから安心して。
休憩中に、一方的に長文を送ったり、何回も追いLINEはしないようにするね。
あなたも、落ち着いたら”また話せるよ”ってだけ返してくれたら十分だよ。
「どうして?」より「こうしてくれるといいかも」を伝える
喧嘩中に「どうして分かってくれないの?」と責めてしまうと、相手は防衛的になる傾向にあります。
「こうしてくれるといいかも」「私はこうしてくれると安心するよ」と要望を分かりやすくそして、優しい口調で具体的に伝えると、すれ違いの回数が減りやすくなる。
「どうして?」という言葉はやわらかく聞こえるように感じますが、私にとっては”針にむしろ”の言葉に聞こえるんです。なので、そのことをすぐに夫に言わないで欲しいことを伝えて禁句言葉として言わないようにしてもらってます。
双極性障害は、今まで以上に繊細な心になってしまうために、些細な語尾の言葉でさえもきつく・怒っているように聞こえてしまう。
パートナーの方に一つお願いしたいのが、当事者の心はかなり繊細です。なので、本人に何か声をかけるときは、「〜したら?」や「〜すれば?」と、強い口調は絶対に言わないでほしいです。そして、子供に問いかけるかのように話すことで自然と優しく伝えることができるかもしれませんね。
伝え方のポイントとは?
「どうして〜しないの?」より「こうしてくれると私は嬉しい」の形で伝える。
💬 伝え方の例(当事者向け)



もし私がきつく言ってしまったとき、”もう少し優しく言ってくれる?”って言ってくれたら、ハッと気づくかもしれない。
もしかすると、素直に受け入れることが難しいこともあるかもしれないけど、そのときは許してくれる?
💬 伝え方の例(パートナー向け)



もちろん、許すよ。あなたが少しでも受け止められたら私もすごく嬉しいよ。
ただね、私は、強い言い方をされると、その言葉を間に受けてしまってすごく悲しくなってしまうときもあるかもしれない。
だけど、頑張って聞き流したりしようとする努力はあなたと一緒にいたいから頑張ってみるよ。だからあなたのペースでいいからゆっくり、いつか優しく私に伝えてくれることを待ってるね。
感謝・嬉しい気持ちは後回しにせず、すぐに言葉にする
良いことがあっても、後で言おう…と思っているとつい、忘れてしまいがち。
小さな「ありがとう」「嬉しかった」をすぐにパートナーや当事者の方に伝えることで、喧嘩のダメージを和らげる貯金になります。
この病気になってから私の場合は、嬉しい感情が薄れていき、現在の今でも嬉しい感情が強くなることはなかったのです。
私たち夫婦の場合は特例かもしれませんが私のときは、一日一回は「ありがとう」と伝えるように無理のない範囲で習慣化してします。
やはり、お互いに感謝の言葉を言われることは、嬉しいはず。
ただ、私は夫からの「ありがとう」は、単に嬉しいだけでなく、「私のことを想ってくれているんだ。」とその言葉をもらえるだけで安心することができています。
あなたのたった一言で、大切な方もパートナーの方も大きく救われます。
伝え方のポイントとは?
わざわざ改まらなくてもいい、小さなことを気軽に伝えてみる。
💬 伝え方の例(当事者向け)



しんどい私にいつも付き合ってくれて、本当にありがとう。
待ってくれて、本当に助かった、ありがとう。
今日は話し過ぎたかも、でも、あなたが私のことを受け止めてくれてほうとうに嬉しかった。
💬 伝え方の例(パートナー向け)



今日も話を聞いてくれてありがとう。
LINE返してくれてありがとう。
いつも一緒にいてくれて安心するよ、本当にありがとう。
一緒にいるとき「無理に話さない時間」を作ってみる
気分が不安定なときには、話し続けることがかえって、負担になることもあります。
例えば、一緒にテレビを観るだけ、一緒に散歩するだけの「静かな時間」も、二人にとって安心感を育てることも。
私がもともと”一人時間”が好きなこともあるので、夫とは同じ空間にはいるけれど、あえて話さない時間を作ったことで気持ち的に楽になったこともあります。
人は、話すことで多少のエネルギーは使うし、消耗してしまうもの。
夫婦であっても、カップルであっても、話さずまったり過ごす時間を設けることで、気持ちをリセットできることもあるので、無理に話す=症状悪化にもなる可能性もあります。
双極性障害の治療の一つとして、おすすめにも、誰とも話さずまったり過ごすことが症状緩和にもつながっていきます。
伝え方のポイントとは?
・一緒にいるだけでいいことをあらかじめ共有しておく。
・話さない時間が気まずくないようにしておく。
💬 伝え方の例(当事者向け)



ときどきね、話す元気がないときがあるんだけど、そういうときに私は黙って一緒に過ごしたいんだけどいいかな?もし、それができたら私はすごく嬉しい。
沈黙が苦手だったら、”今はしんどいんだ”って私から合図するから、その間は一緒にいるだけでもいい?黙ってるからってあなたに対して気持ちがない訳じゃなくて、私にとってあなたは大切な存在だから…
💬 伝え方の例(パートナー向け)



もちろん、わかっているよ。
無理に話さなくても、一緒にいるだけで安心するってこと、伝えておきなかった。
沈黙が続いても、それは私にとって”心地いい時間”なんだよ。
もし、私が急に黙っても、気まずいからとかじゃなくて、落ち着く時間を取っているだけなんだ。だから、安心してね。
「気持ちの整理ノート」を使う
喧嘩で感情が爆発しそうになったときは、すぐに伝えるのではなくて、一旦ノートにその時の気持ちを書き出すこと。
書くことで一時的に感情を落ち着かせ、相手に伝えるべきことと、言わなくてもよいことを整理できます。
私は、日記が書けるときに日々のことを書き綴るようにしています。
だって、今の気持ちは今しか分からないのだから!
自分が書いているノートとは別にパートナーの方と共有できるノートが一つあるとよりいいかもしれません。
私は、共有できるノートというよりかはまだ互いに日記をつけていて、それをたまにそれぞれのノートは自分の思いが書かれているからこそ共有することに意味はあると私は思っています。
(あくまで私の個人的な感想なので、あなたがやりやすい方法で構いません。)
💬 伝え方の例(当事者向け)



気分が高ぶってるとき、言いたくないことまで言っちゃいそうになるから、”気持ちの整理ノート”を使ってみたいなって思ってる。
もし私が、ノートを書きたいって言ったら”じゃあ、待ってるね。”って言ってもらえると、すごく私は助かる。
ちゃんと考えてから伝えた方が、あなたにも私にも優しくなれる気がするんだ!
💬 伝え方の例(パートナー向け)



もちろん、あなたがしたいことなら一緒にしようよ。私も賛成だよ。
喧嘩したとき、すぐに言葉にすると、感情が爆発しちゃいそうだから、一回ノートに気持ちを書いてから話すのもいいかもしれないね。
もし、整理しないまま伝えると、あなたを傷つけちゃいそうだし、お互いにとっても良くないだろうから、一回自分の気持ちをまとめる時間をもらえると私は嬉しいな。
「共通のやりたいこと・楽しみ」を喧嘩の後に一つ入れる
喧嘩やすれ違いのあとに、あえて気分転換の「共通イベント」を用意しておくことが大事。
楽しいことを先に用意しておくことで、「仲直りする場所」が自然とできてきますよね。
私たち夫婦もこれはいいじゃん!と思ってこの方法を積極的に活用しています。まずは、お互いの好きなことを書き出してみるのも良しですし、夫婦・カップルで共通のやりたいことがあればそれをするのも良し!
私は、一緒に景色のいい所に行く、夜中のスタバでまったり二人時間を過ごす、お互い好きなラーメンを思う存分食べる、といったことをこっそりしています。何か、一緒にするって幸せな時間ですよね。
”「共通イベント」を一緒にすることで、互いの大切さや改めてこの人と一緒にいて良かった。”
そう思えるはずです。これは本当にやって良かった、と感じました。
💬 伝え方の例(当事者向け)



私、喧嘩になると感情が爆発して、止まらなくなっちゃうことがあるんだ。そのときに”もしこれ以上は無理だな”って気づいても、なかなか止められなくて…。もし良かったら、二人で”これ以上は一旦休もう”って合図を作りたい。
例えば、”アイスクリーム休憩”って言ったら、お互いに話すのをやめて、一旦さ、クールダウンするのはどうかな?
💬 伝え方の例(パートナー向け)



喧嘩しているときに、私がつい言いすぎてしまうことがあると思う。そんなとき、”今は休戦しよう”って合図を一緒に作っておきたいんだ。
”ちょっとストップ”でもいいし、ユーモアで”アイスクリーム休憩でもいいし。”もし私が言ったら、ちゃんと止まってくれる?私もあなたが行ったときは、すぐやめるからね。
まとめ|すれ違っても、あなたたちは味方でいられる
喧嘩をすること、すれ違うこと、それは「仲が悪い証拠」ではありません。
むしろ、本気で向き合っているからこそ、傷ついたり、苦しくなったり、感情がぶつかるのだと私は思っています。
双極性障害はという波は、二人の生活にときに大きな試練をもたらします。
でも、忘れないでください。
あなたたちは敵でもありません。
喧嘩のときも、すれ違うときも、二人はずっと「同じチーム」です。
喧嘩をゼロにする必要はありません。
すれ違いを恐れなくてもいいんです。
大事なのは、喧嘩のあとに、どう戻ってくるか。
すれ違ったあとに、どうまた歩み寄るか。
「ごめんね」「ありがとう」「また話そうね」その一言が、二人の関係をつなぎ続けます。
完璧じゃなくていい。失敗してもいい。うまくできない日もたくさんあっていい。
でも、一緒に「ラクでいられる方法」を探し続けることが二人にとっての愛情なのです。
たくさん喧嘩しても、きっと大丈夫!
これからも、二人らしいペースで歩んでいけますように願っています。



最後まで読んでくださってありがとうございます。
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